

相談事例

01
法定相続分について知りたいです
法定相続分とは、民法に規定された相続人が獲得する相続財産の一部の割合を指します。誰が相続人になるかは法律で決まり、これを法定相続人といいます。法定相続人には順位があり、その順位に応じて異なる相続分が定められます。同順位の相続人が複数いる場合は、均等に分配されます。この制度は、戦前の家督相続から現在の均分相続制度へと移行したものです。
法定相続分は、実際の相続手続きでの目安となりますが、相続人全員が合意した遺産分割協議においては、遺産の分割方法を自由に決めることができます。個々の事情に応じて分割方法を決めることが合理的です。特定の権利主張が紛争の原因になることを避けるためにも、法定相続分のみに固執せず、個別の状況に合わせた対応が重要です。

02
相続人に未成年者がいる場合はどうすればいいですか
死亡した人の法定相続人に未成年者が含まれる場合、その未成年相続人も年齢に関係なく財産を継承します。ただし、未成年者は法律行為を行うことができません。相続手続きに必要な遺産分割協議も法律行為に当たるため、財産の継承時には法定代理人の同意が必要です。
通常は、未成年後見人として親が代理権限を発揮します。しかし、夫が亡くなり妻と未成年の子供が相続人となる場合などでは、この妻(母親)と子供は利益相反の関係にあります。したがって、母親が子供の代理人として遺産分割協議に参加することは許可されません。
そのような場合、家庭裁判所に特別代理人(通常は祖父母が候補となります)の選任を申し立てる必要があります。特別代理人は子供の権利を保護するために選ばれ、遺産分割協議に参加して進めます。

03
夫が他界した場合の相続はどうなりますか
遺言書がない場合、第一順位の相続人である子供のいない夫婦の相続手続きは、第二順位の相続人である夫の両親、もしくはその両親が亡くなっている場合は第三順位の相続人である夫の兄弟姉妹(代襲相続人の甥姪を含む)と配偶者が共に遺産分割協議書を作成する必要があります。この場合、相続人の確定には夫の両親の出生が初めて記載された戸籍まで遡って情報を集める必要があり、非常に時間と労力がかかります。
一方、遺言書がある場合、公正証書遺言ではそのまま手続きが可能です。自筆証書遺言で保管所を利用しなかった場合は、家庭裁判所の検認手続きを経て公正証書遺言と同様の手続きを進めることができます。遺言書がある場合、夫の両親や兄弟に同意を得ることなく、遺言書通りに手続きを進めることが妻にとって最も有利です。その為、遺言書の作成をお勧めします。

04
兄弟相続になるのはどういった場合ですか
配偶者がいない場合や親がいない場合、そして子がいない場合、兄弟が相続することになります。まず、すべての兄弟を特定するために、両親の出生まで遡り、戸籍を取得し、すべての兄弟をリストアップします。兄弟の中で亡くなった人がいる場合、代襲相続人(甥や姪)まで追跡調査する必要があります。
過去の事例としては、
・兄弟相続のケースで当事務所に依頼がありましたが、被相続人が若い頃に養子縁組をしており、後に子供がいることがわかった為、実子が相続人になり、兄弟相続が行われませんでした。
・戸籍調査を行ったところ、被相続人が前妻(前婚)の連れ子であり、養子縁組をしていたことが判明しました。その子供が相続人となり、兄弟は相続人になれない状況が発生しました。

05
内縁関係の妻に相続できますか
相続手続きにおいて、内縁関係は法的に保護されません。事実婚などの内縁関係にある夫婦は、「法定相続人」として遺産を相続する権利がありません。しかし、生前贈与や遺言書などを用意することで、内縁関係のパートナーに財産を遺すことが可能です。遺族年金などの一部の支給は、「被保険者によって生計を維持していた遺族」が受け取ることができるようです。内縁関係が継続している場合でも、相続に関する準備は通常の場合よりも重要です。遺言書の作成を強くお勧めします。